発信者は娘だった。

何か嫌な予感がした・・・

娘「お父さん!お母さんが手首切ったの!早く病院に来て……」

電話口の向こうから娘が激しく泣きじゃくるのが聞こえた。

俺は急いで病院へと向かった

妻は無事だった。

手首の傷は浅くはないようだったが発見が早かったため大事には至らなかった

ただ精神的に弱っているため少しの入院と退院後の継続的な通院が必要とのことだった

目覚めた妻のもとへ行くと、妻は「ごめんなさい」と繰り返して泣いていた



退院後は常に妻の側にいた。

皮肉にもそれは虚仮ではなく本当の夫婦の時間だった

妻は特に奇怪な行動をとったりはせず、家事なども自分でできるようだった

しかし俺は妻の側にいた。

それはもちろん医師からの指示でもあったが、そうする必要があると思ったからだ

ただ妻は俺に対して素っ気ない態度しかとらなかった

俺と関わるのを嫌がっているようだった。

もちろん妻も思うことがあるのだろう

時々見せる、涙をこらえるような表情がたまらなく辛かった

どうしてこんな風になってしまったのか。

妻の見えないところで子供のように泣きじゃくった

ある日俺は妻と出かけた。

結婚前に良く通った大きな公園だなんと妻たっての希望だ。

2人きりで出掛けるのなんて本当に久しぶりだった

懐かしさに耽りながら、等間隔に木が植えられた道を歩いた

いつの間にか自然と手を繋いでいた

しばらくするとベンチを見つけたので腰掛けた

ちらっと伺うように妻の顔を見ると微笑んでいるようで少し安心した

しばらくすると妻が口を開いた・・・

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