「分からない。
けど、手術が必要でパパがお金がないって言ったから私が払おうと思ったの」
「いくら持ってるの?」
そして、テスは「1ドルと11セント」
それを聞いた薬剤師の弟は少し笑い、微笑みながらテスにこう伝えました。
「笑ってごめんね。あまりにも偶然で驚いたんだ。
君の弟に必要な”奇跡”もちょうど同じ値段だったから」
薬剤師の弟はそう言うと、テスの持っていた小銭を受け取りテスを家まで送り届けました。
テスの家に到着すると、テスの両親は驚きの表情を浮かべます。
自分の娘を送り届けてくれた男性は、実はとても名の知れた脳外科医だったのです。
そしてその両親が驚きの表情を浮かべる中、彼は
「アンドリューの手術を無償で引き受けさせてもらえませんか」
と申し出たのです。
アンドリューの手術はすぐに行われ、無事成功しました。
退院までもそう長くはなかったと言います。
テスの両親は、この奇跡に驚くばかりで言葉がみつかりませんでした。
手術の本当の値段はいくらだったのかと尋ねると、テスは微笑みました。
そう、テスは答えを知っていたからです。
「1ドル11セント・・・
そして彼女の奇跡を信じる気持ち」
だということを。
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