それから彼女は毎日大和市から
世田谷までバイクで通う。

往復で70㎞を超えるらしい。

月に2、3度店に来て点検をする。

あれから半年以上経った後の年始のある晩、
彼女が泣きながら電話して来た。

バイクが盗まれた



年末を実家で過ごした彼女が帰ってきたら、
アパートの駐輪場から
彼女のバイクが無くなっていた。

社長の奥さんに付き添われ
警察に被害届を出しに行く。

たぶん、見つからないと言い、事務的に受理する
警官に奥さんがブチ切れた。

慰める立場の奥さんをなだめる彼女。

怒りプンプンで店に帰って来た。

その晩は、奥さん、彼女は
しこたま飲んだらしい。

そろそろ学校が始まる。

通学にはバイクが
なくてはならなくなった彼女。

新しく買う余裕も無い。

払いも残っている。

しばらくは、社長は自分の原付を貸すことになった。

ある日彼女が、

同級生がスーパーカブに乗っていて、
自分も乗れるだろうか?
と話す。

そこで社長は閃いた。

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