母の両親は他界してて、母側の親戚という人や友達という人が葬儀のことをやってくれて、
私は長い間放心状態のままだった。
両親とも、私が困らないように大学を出るくらいのお金は残してくれたので生活はできたが、
立ち直るのに長い時間がかかった。
両親のお金は大切に使いたいのでバイトをした。
バイトしてる時は少し気が紛れた。
やっと周りを見ることが出来て、生活はできるだけ切り詰めたいと思ってたので、
卒業し、社会人になった機会にもう少し安いアパートに引っ越すことにした。
少ない荷物にいろんな思い出があった。
「タンスの中は古い服ばかりだから捨てていいけど、
タンスは思い出の品だから絶対捨てないでね」と言われてた。
母の品をひとつも捨てるものかと思った。
そして荷物をまとめて引越しの日、運送屋が家具を運び出す時、
タンスの下からとんでもないものが出てきた。
古くて色あせた紙切れ。
それを見た瞬間は理解できなかったし、理解した時にはめまいがした。
古い診断書みたいなものだった。
紙が汚くて読めない所が多かったけど、父は『無精子症?』だった。
いろいろ考えるよりまずは目の前の引越しを片付けて、仕事を覚えることに専念した。
いろんなことに慣れて、やっと他のことを考える時間ができた。
まず、父が無精子症だったということは、私は父の子でもなかったということ。
前に二人が不妊の検査に行って、母だけが結果を聞いてきたのだから、父は知らないと思われる。
知ってたら検査に行く必要はないし、そもそも私を育ててない。
母だけが知っていた。
しかも自分のせいにして隠してた。
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