虫かごを前に出しながら

「怪しいものじゃありません、昆虫採集に来た者です」

を第一声にした。

それでも女の子はとても驚いた様子だった。

俺は不審者じゃないアピールのために、免許証も取り出して見せた。

それで、「どうかされました?何かあったんですか?」

と話しかけたら、

「友達に置いていかれて…」と口を開いてくれた。

すると・・・



泣きながら断片的に話してくれたので、

全て聞き出すのに多少の時間は要したが、まとめると・・・

四人で来ていたが幽霊みたいなのを見つけてみんなパニックになって逃げ出した。

その途中に自分は転んだのに誰も見向きもせずに走っていった。

完全にはぐれて、森の中で一人で取り残されて怖くて動けなくなった。

友達に迎えに来てもらうために何度も連絡しているけど音信不通。

もう一時間くらいこうしている

ということだった。

(完全に俺のせいじゃん)と悟ったが、

それを言ったら気まずくなりそうだったので内緒にしながら、

「うわーそれは大変でしたね」と話を合わせた。

で、罪滅ぼしのために「明るいところまで送っていきますよ」と申し出た。

女の子の腕を掴んで歩いていった。

雰囲気を明るくするために、しょーもない話題を振ったりした

そんなこんなで・・・

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